アガサ・クリスティと海外経験:偏見に気づける人と、気づけない人の差

とある有名人がよく
「海外に行って、海外を知るのはすごく良い経験だ」
という話をしている。


それを聞いて、「確かにそうかもしれない」と思っていたけれど、
アガサ・クリスティの作品を読んでいると、
その重要性をもっとはっきり感じる瞬間がある。


クリスティ自身は、
・夫の仕事に同行して中東などに長期滞在したり
・観光客ではなく“生活者”として外国に触れたり している。


その経験が、作品の中にかなり露骨に出ていると思う。


彼女の小説には、ときどき
・外国人に対してあからさまな偏見を持っている人物
・「海外なんて野蛮」「文明国はイギリスだけ」的な発言をする人物
が出てくる。


ただ、そこで終わらない。


そういう偏見発言だけで終わらせず、
作中で
その人物が視野の狭い人として描かれていたり
している。


つまり、クリスティは
「当時の一般的な偏見」をそのまま肯定しているのではなく、
一歩引いたところから批判的に見ている。


海外を知らないまま外国人を語る人間と、
実際に海外で暮らして人を見てきた人間の差が、
そのまま作品の中にも滲み出ている。


とある有名人が言う
「海外を知ることの価値」は、
ただ“視野が広がる”という綺麗な話だけではなくて、
自分や自国の醜さや、偏見の滑稽さに気づかされる、
かなり痛みを伴うプロセスだと思う。


アガサ・クリスティは、それを正面から書いている。
だからこそ、何十年も前の作品なのに、
今読んでも古びないのだと思う。


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