NHK番組「映像の世紀」で、FBIやアメリカ社会についての回を観た。
その中で、子どもが誘拐されて殺害される事件が取り上げられていて、観ながら真っ先に頭に浮かんだのが、アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』だった。
あの作品は、
「幼い子どもが誘拐され、殺されてしまい、
その事件がきっかけで多くの人の人生が壊れ、
最終的に“復讐”としての殺人が起こる」
という構造になっている。
映像の中で語られた実際の事件と、
クリスティの物語の骨格があまりにも似ていて、
「これはさすがに偶然じゃないだろう」と思った。
もちろん、小説だから細部は違うし、
実名も出てこない。
でも、
・理不尽に奪われた命
・法や裁判への不信
・“正義”が本当に果たされたとは言えない空気
・残された人たちにこびりつく怒りと喪失
こういう要素が、そのまま物語の中心に据えられている。
クリスティは、ニュースをそのままなぞるのではなく、
時代の事件から「感情」と「構造」だけを取り出して、
ミステリーとして組み立て直しているのだと思う。
だからこそ、今の私たちが読んでも、
単なるトリック物ではなく、
「この人たちはどうするのが正しかったのか?」
と考えさせられる。
あの番組を観て、改めて
「やっぱりクリスティの作品は、時代と人間の闇をきちんと見ている」
と感じた。
ただの“古典ミステリー”で片付けるにはもったいない。
『オリエント急行殺人事件』とリンドバーグ事件を連想した話
読書

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