『教会で死んだ男』収録作品 年表(掲載日順)
| 作品名(日本語/原題) | 掲載日(媒体) | |
|---|---|---|
| 1 |
戦勝記念舞踏会事件 The Affair at the Victory Ball/ポアロ |
1923年3月7日 (The Sketch) |
| 2 |
クラブのキング The King of Clubs/ポアロ |
1923年3月21日 (The Sketch) |
| 3 |
プリマス行き急行列車 The Plymouth Express/ポアロ |
1923年4月4日 (The Sketch) |
| 4 |
マーケット・ベイジングの怪事件 The Market Basing Mystery/ポアロ |
1923年10月17日 (The Sketch) |
| 5 |
潜水艦の設計図 The Submarine Plans/ポアロ |
1923年11月7日 (The Sketch) |
| 6 |
料理人の失踪 The Adventure of the Clapham Cook /ポアロ |
1923年11月14日 (The Sketch) |
| 7 |
コーンウォールの毒殺事件 The Cornish Mystery/ポアロ |
1923年11月28日 (The Sketch) |
| 8 |
二重の手がかり The Double Clue/ポアロ |
1923年12月5日 (The Sketch) |
| 9 |
呪われた相続人 The Lemesurier Inheritance/ポアロ |
1923年12月19日 (The Sketch) |
| 10 |
二重の罪 Double Sin/ポアロ |
1928年9月23日 (Sunday Dispatch) |
| 11 |
スズメ蜂の巣 Wasp’s Nest/ポアロ |
1928年11月20日 (Daily Mail) |
| 12 |
教会で死んだ男 The Man Who Died in His Church /マープル |
1954年10月14日 (Woman’s Own) |
| 13 |
洋裁店の人形 The Dressmaker’s Doll |
1958年11月25日 (Woman’s Journal 12月号) |
1923年に『The Sketch』誌で展開された一連のポアロ短編は、「ポアロの事件簿」としてほぼ毎週掲載され、 爆発的な人気を獲得しました。
この連載によってポアロは国民的探偵となり、 その後の推理小説史に決定的な足跡を残します。 本短編集には、その黄金期の作品群と、後年に書かれた異色作があわせて収録されています。戦勝記念舞踏会事件
ポアロ短編の記念すべき第1作。
ここから短編としてのポアロが本格的に動き出し、以後「毎週ポアロが読める」現象が起きました。
人間関係の感情的なもつれを動機に据えた点に、初期ポアロ像の方向性がはっきりと示されています。
クラブのキング
殺人の仕掛け自体は極めて単純で、その分、人物関係と心理の読みが中心になります。 連載初期らしく、「複雑なトリックに頼らない推理」の実験色が濃い作品です。
プリマス行き急行列車
列車という閉ざされた空間を舞台にした短編。 限られた時間と場所の中で犯行が成立する構図は、 後の列車ミステリへとつながる発想の原点ともいえます。
マーケット・ベイジングの怪事件
のどかな田舎町と毒殺事件という、クリスティが得意とする組み合わせ。 地方社会の閉鎖性と噂話の危うさが、事件の背景として効果的に使われています。
潜水艦の設計図
軍事機密をめぐるスパイ風の設定が目を引く作品。 時代の空気を反映した題材でありながら、 最終的には人間の心理的な油断が決定打になる点は一貫しています。
料理人の失踪
行方不明事件を扱いながら、読者が当然のように想定する「殺人」という結論を裏切る短編。 ポアロの自信家な一面と、推理をゲームのように楽しむ姿勢が印象的に描かれています。
コーンウォールの毒殺事件
クリスティの毒薬知識が端的に発揮された短編。 症状の違いという細部が推理の鍵となり、 医学的リアリティが物語全体を強く支えています。
二重の手がかり
ポアロが魅力的な女性犯罪者に強く心を動かされる、珍しいタイプの作品。 推理そのものと同時に、人物の駆け引きや感情の余韻が印象に残ります。
呪われた相続人
一見すると呪いや伝承が事件の核心に見えるものの、 実際には人間の欲と法的な抜け道がすべてを動かしています。 ポアロが迷信を切り捨てていく過程が痛快な一編です。
二重の罪
新聞媒体で発表されたことで、ポアロ短編がより広い読者層に浸透するきっかけとなった一編。 旅先での軽い出来事が、思わぬ形で犯罪へと転じる構成が特徴です。
スズメ蜂の巣
実際の殺人が起こる前に、ポアロが介入するという異色の構成。 犯罪を未然に防ぐという視点が前面に出ており、 人間の復讐心の危うさが静かに描かれています。
教会で死んだ男
慈善目的で書かれたとされるミス・マープル短編。 教会という象徴的な場所を舞台にしながら、 焦点は村社会の人間関係に置かれており、 マープルもの短編の中でも完成度が高い一作です。
洋裁店の人形
他の収録作とは一線を画す、純粋なホラー短編。 人形が勝手に動いているかのような不気味さが読者に強烈な印象を与え、 クリスティ自身が「最も怖い」と評した作品として知られています。 晩年ならではの、静かで逃げ場のない恐怖が特徴です。
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