その後、
私は再び呼び出された。
そこからは、
否定の言葉の連続だった。
警察官に向いていない
組織の毒だ
なぜ警察官になったのか
言葉のシャワーを浴び続けた。
私は、
「組織の毒なら、辞めるべきだ」
そう信じ込み、
「辞めます」
と答えた。
すると今度は、
「そんな軽い気持ちで
警察官になったのか!」
また、否定。
何を言っても、
否定される。
「頑張ります」と言っても否定。
「辞めます」と言っても否定。
完全に、
心が折れた。
その後、
教官から一枚の紙を渡された。
読んで、
納得できたら、
そのまま自分の字で書き写せ。
そう言われた。
そこに書かれていたのは、
私の目線で書かれた文章だった。
つまり、
辞表だった。
その中には、
こう書かれていた。
「上司の命令に背いた」
「同期とのコミュニケーションが取れていなかった」
私は、
その文章を何度も読んだ。
でも、
どれも納得できなかった。
特に、
「同期とのコミュニケーションが取れていなかった」 という一文。
年齢は、
私が最年長だった。
一つ下、二つ下の同期たちは、
寮生活や厳しい部活動の経験がない子達だった。
好きな人としか関わらない。
女特有の面倒な空気が生まれる。
私は、
いざこざが起きるたびに間に入り、
話を聞き、
関係を修復していた。
男子とも、
連携を取っていた。
年齢差のある同期の中で、
全体が回るように動いていたのは、
私だった。
ついでに、
先輩と仲良く、交流があったのも、
同期の中では私だけだった。
その私が、
「コミュニケーションが取れていない」と言われる。
では、
どんな状態をもって
「取れている」と言うのか。
誰も、
説明はしなかった。
そして、
もう一つ。
「上司の命令に背いた」
今振り返っても、
親に会いに行くことが
職務上の命令だったとは、
どうしても思えない。
警察官であっても、
人には私生活がある。
家庭の事情は、
職務の外にある。
それを
「命令」という言葉で包み、
従わせようとすることに、
私は強い違和感を覚えた。
私が辞めると聞きつけ、
組織のトップクラスの方が、
私の元へ駆けつけてくれた。
私は、
本心では辞めたくないことを伝えた。
その方は、
何とか引き留めようとしてくれた。
でも、
結果は変わらなかった。
私は、
辞めた。
その後、
自殺を考えた。
理不尽に、
排除されたからだ。
でも、
ほんの些細なきっかけで、
踏みとどまった。
「一人死んだところで、
世間が騒ぐのは、
せいぜい一週間」
その一週間のために、
自分の人生を終わらせるのか。
そう思ったら、
馬鹿馬鹿しくなった。
そのきっかけをくれた人には、
今も、心から感謝している。
ほんの軽い、
何気ない電話だった。
でも、
それで十分だった。
▼ このシリーズ


コメント