警察学校で起きていたこと 第2話

「挨拶一つ」で始まった、見えない敵意

警察学校には、
有名な教官がいた。

陰で
「県警一の嫌われ者」
と呼ばれている人物だ。
他の教官たちは、
決して悪くは言わず、
口を揃えてこう言っていた。

「癖がある」


ある休日、
外出届を出すために教官室へ入った。

教室や教官室内では、
教官に一人ひとり挨拶する必要はない。

ましてや、
その教官は書類に集中していた。

私は、
軽く頭を下げながら、
後ろを早歩きで通った。


その直後だった。

「おいお前。
俺には挨拶はないんか」

空気が一気に変わった。

私は慌てて、
室外と同等の大きな声で挨拶をした。


その後、
彼は私にだけ聞こえる声で言った。

「警察辞めたくなかったら、
死にもの狂いでついてこいよ」

その時は、
意味が分からなかった。

本当の意味を理解したのは、
警察を辞めて、
何年も経ってからだった。



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