警察学校には、
有名な教官がいた。
陰で
「県警一の嫌われ者」
と呼ばれている人物だ。
他の教官たちは、
決して悪くは言わず、
口を揃えてこう言っていた。
「癖がある」
ある休日、
外出届を出すために教官室へ入った。
教室や教官室内では、
教官に一人ひとり挨拶する必要はない。
ましてや、
その教官は書類に集中していた。
私は、
軽く頭を下げながら、
後ろを早歩きで通った。
その直後だった。
「おいお前。
俺には挨拶はないんか」
空気が一気に変わった。
私は慌てて、
室外と同等の大きな声で挨拶をした。
その後、
彼は私にだけ聞こえる声で言った。
「警察辞めたくなかったら、
死にもの狂いでついてこいよ」
その時は、
意味が分からなかった。
本当の意味を理解したのは、
警察を辞めて、
何年も経ってからだった。
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