第4話 たった一つでいい,頑張る理由

ある日、
友達に冗談めかして言った。

「学校、辞めようかなー」

「えー、辞めないでよ」

そう返されて、
冗談みたいに流した。

でも、その言葉が
寮の担当の先生を通して、
母親に伝わっていた。


母の反応は、こうだった。

「こんな恥ずかしいこと!
絶対に辞めさせないからな!」

それだけ。

「どうしたの?」
「何があったの?」

その言葉は、なかった。

その瞬間、
母への心のシャッターは閉じた。


それでも今思う。

この母親だったから、
私は忍耐力と精神力を
異常なほど鍛えられたのかもしれない。

後の職場での理不尽も、
何とか対応できた。


私は、
学校を辞めるために、
制度を利用しようとした。

英単語テストの平均点を落とせば、
留年になる。

再テストまでいった。
でも、なぜか受かってしまった。

辞められなかった。


それでも、
良い友達がいた。

仮病を使って布団で寝る時間。
誰もいないうちに入るお風呂。
それが一番安心できた。

そして何より、
大好きな先生がいた。

その先生の授業がある日は、
必ず学校に行った。

テストの点数を褒められたくて、
その教科だけは頑張った。


たった一つでいい。
些細なことでいい。
頑張る理由があることは、
人を生かす。


私は、
決して強かったわけじゃない。

良い友達と、
良い先生に恵まれていた。

それだけで、
生き延びることはできた。


最後に

私より、
もっと過酷ないじめに遭っている人は、
たくさんいると思う。

でも、
この話が、
どこかで誰かの
「まだ大丈夫かもしれない」
という気持ちに繋がったなら。

それだけで、
書いた意味はあると思っています。




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