『パーカー・パイン登場』雑誌掲載順を追いかけて分かったこと

『パーカー・パイン登場』の年表づくりで苦労したこと

『パーカー・パイン登場』の雑誌掲載順を整理する際、 いちばん厄介だったのは、 「誌面の号数と、実際に売られていた時期が一致しない」 という点でした。

同じ「1933年4月号」でも、 雑誌によっては2月に店頭に並び、 別の雑誌ではほぼ4月に発売される―― こうしたズレを無視すると、掲載順は簡単に狂ってしまいます。

当時の雑誌に見られる大きな違い

ズレのある月刊誌

『Nash’s Pall Mall Magazine』のような雑誌では、 実売月より先の月を「○月号」として表記する慣習がありました。 1930年代の『Nash’s』では、 実際の発売時期と号数が約2ヶ月ずれるのが常態でした。

ズレの少ない週刊誌

一方、『Woman’s Pictorial』のような週刊誌は、 表紙に記された日付と、実際の発売時期がほぼ一致します。 年表を作る上では、もっとも扱いやすいタイプの雑誌です。

アメリカの出版文化の影響

『Nash’s Pall Mall Magazine』の大きなズレは、 アメリカの出版文化の影響によるものです。 アメリカでは、雑誌を「先取り感のある商品」に見せるため、 実売月より先の月を号数にする習慣が広く定着していました。

『Nash’s』はこうしたアメリカ的な感覚を取り入れた結果、 イギリスの週刊誌とは、まったく異なる時間感覚で読まれる雑誌になっていました。

『パーカー・パイン登場』の場合

この短編集は、
・1932年の『Woman’s Pictorial』(ズレなし)
・1933年の『Nash’s Pall Mall Magazine』(約2ヶ月ズレ)
という、性質の異なる雑誌をまたいで掲載されています。

そこで年表では、
「当時のイギリス読者が、どの順番で読んだか」
を基準にし、 『Nash’s』については 「実際の発売月+(誌面上の号数)」を併記する形を採りました。

まとめ

雑誌掲載順の年表は、 「何年何月号に載ったか」だけでは不十分です。 その号が、実際にはいつ売られていたのかを考慮して初めて、 当時の読者の時間感覚に近づくことができます。

『パーカー・パイン登場』は、 そうした雑誌文化の違いが特に表に出やすい短編集でした。 年表づくりに苦労した分、 作品の並びそのものが、1930年代の出版事情を映していることが見えてきます。




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